第1回 「持続可能なエネルギー社会と石炭」 (文責:学部3年生)

▶最近よく耳にする「持続可能な社会」って問題なの?
現代社会は、大量の化石燃料の消費によって成り立っています。日本では1人1年あたり約700 kgの液化天然ガス、約1660 Lの石油、約1.45 tの石炭を消費しており、年間で1人あたり約9.57 tもの二酸化炭素を排出しています(2012年度統計)。その結果、化石燃料は枯渇すると危険視されています。そこで、有限な地球資源の中でいかに将来的にも今の生活水準を下げずに生活し続ける社会を目指すという「持続可能なエネルギー社会実現」は世界的問題になっています。

エクセルギー再生:低レベルの熱エネルギーを再生し、循環利用すること。省エネ効果がある。(エクセルギーとは、エネルギーのうち有効な仕事として取り出せるもののこと)
図1 石炭のエクセルギー再生ガス化プロセス概念図

▶化石燃料を使わなければいいの?
現 代社会が化石燃料を全く使わずに日常生活するのは、先ほ ど述べた使用量からも依存が高いため、難しいということが分かります。また、再生可能エネルギーの利用は近年急上昇していますが、すべての再生可能エネル ギーを合わせても一次エネルギーのうちのわずか数%をまかなっているのにすぎません。今の生活、社会システムと環境を壊すことなく、限られた資源からいかに多くの使いやすいエネルギーを作り出すかが問題なのです。

▶「持続可能なエネルギー社会」を実現するために具体的な取り組みって何?
化学システム工学科では、「持続可能な社会」を実現するために「石炭の高効率利用」を行っています。

▶何で石炭なの?
世界での埋蔵量が多く、埋蔵地に偏りがない石炭は日本でも自給が可能であり、原油や天然ガスが高騰している中でも対エネルギーコストが安く、経済的でもあり ます。また世界の一次エネルギー(=化石燃料、原子力、水力、太陽など自然エネルギーで自然から直接得られるエネルギーのこと)の約4割は石炭です。なので石炭を効率良く利用できたら「持続可能な社会実現」に近づけると言えるのです。

▶石炭の高効率利用ってなに?
石炭の高度利用技術として、石炭を蒸し焼きにして熱分解を起こし、H2、COを中心とした気体燃料に変換してガス化する「石炭ガス化技術」があります。この技術は石炭から出るCO2や大気汚染物資の排出量を抑制し、さらに石炭を直接燃焼させるよりもガス化で取り出した燃料ガスを燃焼した方が発電に利用すると効率がよくなるのです。発電効率が1%上昇すると、石炭火力発電所1基当たり、一日で数十トンもの石炭の節約につながります。またさらにこの技術は石炭をきれいに効率よく使う技術として世界の注目を集めています。

当学科ではガス化炉の熱源として、ガスタービンや燃料電池の排熱を利用したエクセルギー再生(図1)ガス化による次世代高効率発電・油分生成システム実現のために、流動層型ガス化炉の開発と全体システムの設計を行っています。

Category: For-high-school-students(中高生向け研究紹介)